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パクベンダム

パクベンダムは、中国部分を除くメコン河本流の下流域において、現在建設中ないし計画中のダムの中で最も北に位置するダムです。ラオス北部ウドムサイ県にあるパクベンという町から7キロ上流に位置し、メコン河下流域の本流ダムとしては、すでに工事が始まっているサイヤブリダム、ドンサホンダムに続いて開発される予定となっています。
設備容量は912MWで、毎年4,700GWhの電力を作ることが見込まれており、そのうちの90%の電力はタイへ売られ、残りの10%の電力はラオス電力公社を通じて国内に供給される計画です[International Rivers. 2017. A Dangerous Trajectory for the Mekong River: UPDATE ON THE STATUS OF MEKONG MAINSTREAM DAMSによる] 

当初計画によると、ダムの幅は943メートル、高さは76メートル、貯水池面積は87平方キロメートルの流れ込み式ダムとなる予定です。設備容量の見込みは1,230MW。 [Norconsult (Dec. 2008) Initial Environmental Examination (IEE), Pak Beng Hydropower Project, Lao PDR; SEA Inception Report Vol. 2, Project Profile.による] ダム建設にともない、ラオス側で25村、タイ側で2村、合計6700名の人が移転を強いられると推計されています。

2018年4月、タイの電力開発計画の見直しの影響で売電契約締結が延期された状況です。

プロジェクト名
パクベン水力発電事業
プロジェクト所在地
ラオス北西部 ウドムサイ県パクベン町上流
調査・実施主体

初期環境調査(IEE):2008年、EarthsystemsとNorconsultが実施。
事業主体:
中国・大唐海外投資有限会社(China Datang Overseas Investment, 中国大唐集団公司の子会社)
タイ・Electricity Generating Public Company Limited (EGCO)、ラオス電力会社 (EDL)

事業費・供与先
ラオス政府が19%、大唐国際発電が81%を出資。
状況  
・2007年8月29日、覚書(MOU)が大唐国際発電社とPlanning and Investment省副大臣との間で交わされた。30ヶ月のF/S。2010年12月27日、PDA(Project Development Agreement, 18ヶ月)が署名された。2011年、PDA終了。初期環境調査(IEE)を提出。
・当初の企画では最大供給レベルを海抜345メートルに設定していたが、タイの土地まで浸水してしまう恐れがあり、ラオス政府の最適化調査(CNR Optimization Study)に基づいて海抜340メートルに修正。
・CNR Optimization Studyに基づいて、パクベンでの境界線紛争が回避された。ダム建設にともない、モン民族(Hmong)の村が複数回移動させられる事態が発生している。
・2014年3月、大唐海外投資有限会社がラオス政府より水力発電ダムを建設するための環境許可を入手。
・2015年12月、タイのElectricity Generating Holding Public Company Limited (RATCH)が中国企業を通し本事業に参画との報道。
・2016年12月20日「通知、事前の協議および同意の手順(PNPCA)」が公式に始まる。
・2017年6月タイの住民は、サイヤブリダムのPNPCA)のタイでの事前協議プロセスが妥当ではなかったとタイの行政裁判所に提訴。当初、下級裁判所で却下されたが、2017年11月、最高行政裁判所が住民の控訴を認めている。
懸念される問題点
・メコン河本流上流で計画されているその他のダムが建設されると、パクベンダムに極めて粒子の粗い沈殿物がたまり、ダムの機能に大きな影響を与える可能性がある。
・パクベンダム建設によって、約1,657ヘクタールの農地が水没するとされる。
・水生生態系への影響および生物多様性の喪失の可能性が懸念される。特に、仮に効果的な魚道が設置されたとしても、ダムは回遊魚の移動を困難にすると考えられる。
・ダム建設にともない、22万3,659名が間接的な負の影響を被ると考えられており、影響のあるとされる8つの地区のうち7つまでが、ラオス政府によって「貧しい」ないしは「とても貧しい」と区分されている。
・ラオスとタイで実施されたケース・スタディによると、ダム建設の負の影響として、パクベン地区では半数以上の家庭が年間6ヶ月以上の食糧難を経験している。

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