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「パー・パー」とは
ラオス中南部で行われている村人による自主的な沼の資源保護管理と利用。
沼に禁漁区を定め、年間を通して魚とりを禁止する。村が決めた時期だけ、近隣の人たちも集め漁を解禁する。村外の人たちは入漁漁を払うが、この収入は学校建設など村の公共事業のために使用される。パー(Pha)
とは、「切り取る」、またパー(Pa)は魚である。パー・パーは魚を沼から切り取り利用するということを意味している。今回取り上げたケースでは、大きな沼の半分を禁漁にし、半分を日常の生業に利用するという柔軟な管理が行われている。これを決めたのは、村人である。地域が管理の決定権を持つことで、円滑な管理が行われる好例といえるのではないだろうか。
<ナレーション要約>
昔から、ラオスの人々の生活は自然と共にありました。そのため、地域によって異なる生活スタイルが生まれました。自然の利用という「村人の伝統の知恵」と呼ばれる技能を磨いてきたのです。多くの農民は自然の変化によって起こることを熟知しています。それが人々にとって身近なものだからです。人々は、その変化に自分の生活をあわせることに長け、乾季、雨季にそれぞれ自然からめぐみをうけるにはどうしたらよいのか、良く知っています。それぞれの季節で生業は異なり、人々の知恵ほど(地域にあった)優れたものはないでしょう。今日、番組ではこのような知恵を紹介します。
「パー・パー」は乾季に行われます。雨季には水位が高く、漁をすることが難しいからです。明確な管理者がいることで、祖父母の時代から現在に至るまで、自然資源を利用することができるのです。(禁漁の)決まりを守らなない人がいれば、村の長たちが罰金を科すなどの注意を行います。これは、村独自の決まりです。なぜなら、沼は村人全員のもので、もし魚をとるのであれば皆が一斉にとることになっているのです。禁漁が決まっていれば、村人はどこでとっていいか、どこが保護区かを知ることができます。
「パー・パー」は一年に一度だけ、沼が浅くも深くもない時期に行われます。そのため、日取りは慎重に選ばれます。また、参加者は一つの村だけではないので、村内だけでなく村外にも協調関係が作られます。
また、「パー・パー」は村に収入をもたらします。それは、集まる人々に食品などを売るからです。村外から参加する人々の支払う入漁料は村の収入になり、その公共事業に使用されます。魚をとらない人も、雰囲気を味わい楽しむためにやってきます。ここ、カムアン県タケーク郡では、多くの村がこのような「パー・パー」を行っています。
皆さんは「パー・パー」をどう思われるでしょうか。番組ではこれが自然を利用する人々の知恵で、社会に利益をもたらしていると考えています。実施のために大切なのは、村の行政と村人の協力関係です。
私たち皆が、自然を利用する際にどうするかを考えなくてはなりません。「めぐみ」が続くためには決まりを守ることが必要です。保全することを知らずに浪費すれば、資源はいつか失われます。そうなれば、私たちはこの「パー・パー」を見ることができなくなるのです。資源が失われてしまったら、自然を利用する私たちの生活はどうなるでしょう。それは、皆が考えていかなくてはならない問題です。