ホーム > 現地での活動 > メコン河長期生態系モニタリングプロジェクト
日本の研究機関である独立行政法人・国立環境研究所では、メコン河における水質、水理、生物多様性などを含む生態系についての長期モニタリング体制構築を行うため、2003年より流域国の大学や研究所と、メコン河長期生態系モニタリング(Mekong River Ecosystem Monitoring、MeREM)と呼ぶ国際協力体制を作り、モニタリング手法の統一や、流域国に対するモニタリング能力向上 のためのトレーニング、モニタリング精度の管理体制、データベース設計など 自然科学的側面についての検討を行っています。これは近年、さまざまな開発事業によって著しい変化の見られるメコン河の生態系に対して、長期にわたる 科学的モニタリング活動を行うことによって、信頼に足る科学的データを提供することで、流域の環境問題の解決に資する可能性があります。
その一方で、これまで長年にわたりメコン流域現地社会と活動してきたNGOとして、メコン・ウォッチはこのMeREMプロジェクトが、流域住民の声や現地グループ による自発的な調査活動など、社会科学の面からの情報をより反映して実施されるべきだという問題意識を持っています。その理由としてはメコン流域ではこれまでにも政府や大きな研究機関主導のさまざまな研究活動が行われてきま したが、必ずしもそうした研究の成果が現地で発生している問題の解決に繋がってこなかったという経験があるからです。
メコン・ウォッチは2003年からMeREMを現地社会で有用なものにするため、国環研と協力しつつ現地住民やNGOらからの聞き取り、現地におけるワークショップ の開催などを独自に進め、そうした活動によってMeREMと流域国の住民、NGOなどの市民社会との連携を促進しています。こうした活動を行う上でメコン・ウォッ チが特に重視した地区は、中国雲南省〜北タイのメコン河本流上流域、およびベトナム中部からカンボジア北東部で国境を跨いで流れるメコン河の支流セサン川流域です。
2006年2月または3月にはセサン河流域において現地NGOや研究者の取り組みをMeREM研究者に知ってもらうと同時に、現地NGOや研究者が抱えている困難に対してMeREMの専門家がどのようなアドバイスや支援ができるかを検討するためのワークショップの開催を予定しています。