ホーム > 現地での活動 > イン川漁業・湿地利用調査プロジェクト
イン川は、タイ北部パヤオ県からチェンライ県を流れるメコン河の支流です。豊かな生物多様性を持つイン川とその周辺の湿地帯では、近年、違法漁業などの影響で漁業資源が枯渇し、住民の生活を不安定なものにしています。また、イン川河口部に位置するチェンコンの大規模商業港の建設やメコン河上流浚渫もイン川やメコン河流域の生態多様性や人々の暮らしに影を落としつつあります。開発が進められるなかで、環境や文化、人々の暮らしが守られるためには、住民自身が環境への意識を高め、主体的に環境と開発のバランスについて考える必要があります。
メコン・ウォッチは、2001年度から2002年度にかけて、地元NGOや住民と協力し、イン川流域の漁業や湿地の利用についての住民参加型調査プロジェクトを行いました。
このプロジェクトは財団法人国際開発救援財団の支援を受けて行われました。また、現地カウンターパートは財団法人イオン環境財団の支援を受けました。
イン川の全長は約300kmで、魚種は90種以上と推定され、現在タイでは2番目に魚種が多い川であるといわれています。毎年雨季になるとメコン河からの背水と流域の降水量の増加で洪水が起こります。この時期、川の増水にともない大量の魚がメコン河から遡上し、流域に散在するノーン(氾濫源の池)や水田などで産卵します。ノーンと呼ばれる氾濫源の池は、漁業資源の他にも、多様な水辺の植物や昆虫、渡り鳥などの生息地として、生物多様性を支えています。しかし、近年、様々な要因によって、これらの川と湿地帯の生物多様性は減少しており、流域の住民の生活にも影響を与えています。
メコン・ウォッチは、2001年度と2002年度に、イン川流域の漁業と湿地利用に関する住民参加型調査プロジェクトを実施しました。地元NGOと住民とともに、河川と湿地における自然資源の利用方法を調査し、また流域の資源管理に関するセミナーを開催することで、住民の環境保全に対する認識を高め、自主的な保全活動につなげることを目的としています。漁労や資源管理の形態などに関する住民参加型調査、近隣の漁業保全区やコミュニティ ・フォレストの見学や住民グループとの意見交換会、流域住民を集めてのセミナーをはじめとする環境教育活動などを実施してきました。