ホーム > 現地での活動 > メコン河の魚の生物多様性調査と環境教育
ムン川下流域では、漁業を主な生業とした村が多く見られます。それは、この川の下流が複雑に侵食された岩盤で形成されており、魚の生息に適していたからです。主に、現地でゲンと呼ばれる早瀬(岩瀬)は、人々から「魚の首都」とまで呼ばれていました。ムン川には約200種もの魚が生息していたと見られ、メコン河の回遊魚が遡上し産卵する場であり、メコン河の魚類の多様性を支える柱としても注目されてきました。
しかし、河口から約5キロの場所に建設されたパクムンダムによって、ムン川は大きな環境の変化を受けています。自然環境に食糧を依存していた人々の生活も大きく変わりました。住民の反対運動が実り、2001年には試験的にダムの水門開放が行われました。この間、ダム建設後に生息が確認できなかったかなりの魚がムン川に帰ってきました。
メコン・ウォッチでは地元の漁師さんの協力の元、継続的に魚類のデータを収集し、現地の魚類の多様性を明らかにする調査を行っています。現在まで、25科99種の魚が記録されました。採取された魚は、写真を撮影した後、標本として保存されています。
また、住民の持っている伝統的な知識や技術を生かすための場として2002年に作られた、「地域住民伝統の知恵センター」に調査結果を提供し、収集した漁具の展示コーナーを作成中です。ここで、伝統技術の継承に協力しながら、地域の環境教育に活用するための情報の提供を目指しています。
このプロジェクトは経団連自然保護基金の支援を受けて実施されました。