ホーム > 現地での活動 > 流域住民の知見による魚の回遊に関する調査
メコン河には1000種以上と言われる多様な魚が生息しており、乾季と雨季で川の環境が大きく異なるため、多くの魚が本流と支流の間を移動していると見られています。しかし、その実態を科学的調査で知るのには莫大な費用と時間がかかります。一方で、流域の住民は生業を通じた長年の経験から魚についての豊富な知識を有していますがそれは広く知られていません。
メコン・ウォッチでは2000年度から2002年度まで「メコン河の魚の生物多様性調査と環境教育」事業をムン川流域で行い、26科108種(2003年3月現在)の魚種を記録しました。このようなデータを活用しつつ、川の自然や魚の行動に深い知見を持つ住民グループから聞き取りを行い、支流と本流の間の魚類の移動について住民の経験を文書化してゆきます。魚の回遊は繁殖行動などを伴っている場合が多く、変化が起きた場合は魚類の多様性に重大な影響を与える恐れがあります。ひいては、そのことが流域住民の生活に影響を及ぼすのです。収集したデータは日本語、英語にまとめインターネット上で公開し、メコン流域での開発事業に対して、流域からの情報を提供することを目指します。