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ナムトゥン2ダムが計画されている、ナムトゥン川はベトナム国境のチョンソン山脈から流れ、ラオス中部を東西に横切ってメコン河に注いでいる。流域面積は約1万4000平方キロメートル、日本第2位の石狩川に匹敵するメコン河支流の1つである。
ナムトゥン川の中流を堰き止めて貯水し、ダム湖から導水トンネルを通して発電所に水を送る仕組みである。発電後の水は、ナムトゥン川ではなくメコン河の別の支流セバンファイ川に流される(以下の地図を参照)。
プロジェクトサイトは、首都のビエンチャンから東に250キロほど離れたラオス中部のカンムアン県とボーリカムサイ県に位置している。
プロジェクトは民間主導のBOOT方式で進められている。すなわち、開発企業体であるナムトゥン2電力会社(NTPC)が、建設(Build)、所有(Own)、操業(Operate)し、25年後に政府に移管(Transfer)するというものだ。発電能力は1070メガワット、そのうち95パーセントにあたる995メガワットを隣国タイのタイ発電公社(EGAT)に輸出する計画である。
2003年11月8日、EGATとNTPCが電力購買合意(PPA)に署名した。それに基づき、NTPCは18か月間(2005年5月まで)のうちに資金を確保しなければならない。開発企業体は総事業費約13億ドルのうち3億3000万ドルを出資企業で、8億5500万ドルを融資によってまかなうとしている。NTPCの出資企業と出資比率は以下の通りである。
世界銀行がラオス政府及びNTPCから求められているのは、部分的リスク保証と2000万ドルの譲許性資金(IDAクレジット)である。このうちIDAクレジットは、ラオス政府の出資分である社会・環境面の緩和策を支援する「ナムトゥン社会環境プロジェクト」を通じたものである。ちなみに、NTPCにおけるラオス政府の出資分は約8300万ドルである。世界銀行以外にも、アジア開発銀行(ADB)、フランス開発庁、欧州投資銀行も資金供与の可能性がある。
プロジェクトによる環境・社会影響を緩和する対策に1億ドルが必要だが、これに対しては出資金、借入金、収入によってまかなわれるだろう。また、世界銀行は、発電後の水が導水されるセバンファイ川沿いのプロジェクト影響地域に住む人々のための生活改善活動にも5000万ドルの資金協力を検討している。
なお、ADBは2003年から04年にかけて、ナムトゥン2ダムプロジェクトの準備のために170万ドルの技術協力を2回に分けて実施している。