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セカタム水力発電ダム


セカタム滝。この上流にダム建設が計画されている(2006年2月)

プロジェクト名
セカタム水力発電事業
所在地
ラオス南部チャンパサック県
事業費(計画)
1億2000万ドル(132億2500万円)
状況
2006年2月に経済産業省の支援を受けて関西電力が実施した事業可能性調査が完了。関西電力の計画では、2007年第1四半期まで環境影響評価(EIA)を実施し、2007年末には着工される予定だったが、事業が中断、現在、JICAの「協力準備調査(PPPインフラ事業)」で再調査が行われている。

ファクトシートはこちら

セカタム水力発電ダムとは

セカタムダムは、関西電力株式会社がラオス南部のチャンパサック県に計画している発電能力60.8メガワット、年間発生電力量380GWhの水力発電事業です。ダム建設が計画されているセカタム川は、ボロベン高原を流れ、セナムノイ川、セコン川を経てメコン河に流れ込む清流です。

支流のナムホン川にロックフィル式の貯水ダム(貯水地の湛水面積7.6ku)、セカタム川にアースフィル式の副ダムを建設し、セカタム川から貯水ダムへの導水を行うことが計画されています。プロジェクトはIPP(独立発電事業体)事業として実施され、発電された電力の大部分は隣国タイに輸出される予定です。

この地域では、過去には、1992年に国際協力事業団(JICA、現国際協力機構)が電源開発株式会社(現J-Power)にセカタムダムの開発調査を委託し、1995年にセコン流域の水力発電計画に関するマスタープランを作成しています。1992年の調査では、周辺地域に電力を送るために6メガワットの小規模ダムが計画されていましたが、現在の関西電力の計画では、発電能力は60.8メガワットと10倍の規模になり、主な目的もタイへの電力輸出と変化しています。

2004年9月に関西電力株式会社がラオス政府とセカタムダムの実施可能性調査(F/S)を実施するための契約を結びました。2005年10月からは、経済産業省のODA予算を使った「平成17年度開発途上国民活事業環境整備支援事業」として「タイ国輸出用ラオス国セカタム水力発電事業可能性調査」が実施され、2006年2月に報告書が完成しています。

プロジェクトは、セカタム川の流域に暮らす少数民族・ニャフン(Nya Heun)族の人々の生活に影響を与えることになります。ニャフン族の人々は、1998年に韓国企業の投資によって建設されたホアイホーダムによって、全体の半数にあたる10村が移転させられました。セカタムダムが建設されれば、ホアイホーダムの移転村を含むニャフン族の村が、農地や放牧地を失い、漁業資源や安全な飲み水のなどのアクセスが妨げられるなど、深刻な影響を受けることになります。ニャフン民族の人々の生活は、二重にダム建設の影響にさらされているのです。更に、周辺は企業によるプランテーション開発が進んでおり、代替地の取得も困難と言われています。

プロジェクトを推進している関西電力は、経済産業省の委託事業として、実施可能性調査を行いました。しかし、経済産業省には環境社会配慮に関わるガイドラインなどはなく、ODAを使った調査であるにも関わらず、影響住民であるニャフン族への配慮が行われていない、現地ステークホルダーへの説明責任が果たされていない、調査方法やスコープが不明確、適切な情報公開がなされていないなど、様々な問題を含んでいます。

プロジェクトの問題点


放牧されている水牛。ダムが建設されれば水田・焼畑地・
菜園・家畜の放牧地が水没し、地域住民の生計に大きな影響を
与える。(2006年2月)

○ 少数民族・ニャフン族への影響

プロジェクトは少数民族であるニャフン族の人々の生活に大きな影響を与えます。ニャフン族はモン・クメール系の少数で、南部のチャンパサック県およびアタプー県に、21村、約5,000人が生活するのみの小さなグループです。一般には通婚も周辺の特定の民族に限られ、独自の言語・習慣を保ってきましたが、1998年に韓国企業の投資によって建設されたホアイホーダムによって、ニャフン族の10村が移転させられ、その移転村を含むニャフン族の村が、セカタムダムの影響を受けることになります。それにもかかわらず、関西電力が実施した事業可能性調査には、ニャフン族という民族名すら報告されていません。

○ 農地・放牧地の喪失

F/Sによれば253ヘクタールの水田が移転の対象とされていますが、適正な移転地の有無や移転後の生計の補償については明記されていません。プロジェクトの影響地域では、水田適地が少なく、多くの人々が焼畑地で陸稲栽培を営んでいます。ダムが建設されれば、貴重な水田が水没するだけでなく、焼畑農業についても農地の喪失や水源保護のための農業の禁止などによって、影響住民が生計手段を失う恐れがあります。また、地域住民にとって、家畜は食料・現金収入手段・宗教儀礼などの多様な目的で使われる重要なものですが、放牧地も水没する可能性があります。しかし、事業可能性調査には、焼畑地、畑、放牧地の具体的な影響の規模は記載されていません。

○ 河川環境への影響

セカタム川、ナムホン川、セナムノイ川では、水量・水質が変化することで、水生生物に深刻な影響を与えることが予想されています。また、自給のための漁撈を行っている流域の人々にとっては、魚は蛋白源として非常に重要であり、ダムの影響は人々の生活に直接的な影響を与えます。また、地域住民はセカタム川やナムホン川などの水を飲料水、農業用水、家畜の飼育などに用いているが、ダム建設によって水質や水量が変化すれば、生活に深刻な影響を受ける恐れがあります。
それにもかかわらず、明確な影響緩和策や、漁業被害への補償策などは示されていません。

○ 希少な動植物への影響

影響地域には、絶滅危惧種、特にアジアヒレアシ、シマハッカン、オオサイチョウなどの絶滅危惧種のリストにあがっている希少な鳥類が生息していることが確認されています。また、この地域では、爬虫類や両生類、また鳥類等について、新たな種類が発見される可能性があることを関西電力も認めています。プロジェクトによる動植物への影響は不確実で、こうした不確実性への配慮が求められます。

○ プロジェクト実施前の焼き畑耕作の禁止令

2006年、環境影響評価(EIA)が実施される前に、少なくとも2村がセカタムダムのためとして、焼き畑耕作を禁止されています。社会影響調査の実施や補償策の提示の前に、影響住民は生計手段の変更を強いられているのです。

○ 実施可能性調査(F/S)における不適切な環境社会配慮

日本のODA予算が使われながらも、実施可能性調査の委託元である経済産業省には環境社会配慮ガイドラインがありません。関西電力が実施した事業可能性調査においては、初期環境調査(IEE)が実施されていますが、現地踏査を行った調査団員は経済・財務分析の専門家のみで、そのほかの調査団員の中には環境社会影響の専門家は一人も含まれていません。また、環境社会影響に関する調査方法やスコープは不明確で、この実施可能性調査に基づいて環境影響評価(EIA)が進められるとすれば、適切な環境影響の回避・緩和・補償の実施については疑問があります。影響を受けるニャフン族など社会的に脆弱なグループへの配慮や、累積的な影響、不確実性などの視点は盛込まれていません。さらに、現地ステークホルダーの計画過程への参加や、適切なコンサルテーションは行われておらず、影響住民の中にはプロジェクトについてほとんど知らされていない人々が多くいます。現地ステークホルダーが理解できる言語での情報公開も行われておらず、環境社会配慮に関する多くの問題を抱えています。

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