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スレポック4Aダムは、ベトナムとカンボジアの国境付近、ベトナムのダクラク省に建設が計画されている、発電能力64メガワットの水力発電ダムです。
スレポック4Aダムは2007年のベトナム第6次電力開発計画で重要プロジェクトとして承認されています。 2012年には三井住友銀行が本事業への融資契約を締結し、日本貿易保険(NEXI)が海外事業資金貸付保険の引受を決定しました。
当初、スレポック4Aダムの環境影響評価報告書(EIA)はベトナム語版のみが公開され、英語やクメール語では公開されませんでした。これは下流カンボジア住人をステークホルダーとしてとらえていないことを意味しています。
メコン・ウォッチは、2012年4月にEIAの英語訳または日本語訳の公開を請求しましたが、NEXIは同年5月に「プロジェクト実施者であるベトナム発電公社(EVN)に開示の意思がなく、また翻訳内容に誤りがあった場合プロジェクト実施者に対する誤った批判がなされる恐れがある」として、情報を不開示としました。
同年9月に、メコン・ウォッチは再度情報開示請求を行いました。また、10月には、カンボジアのスレポック川とセサン川流域の住民組織ネットワークの3S川保全ネットワーク(3SPN)がNEXIに書簡を送り、EIAのカンボジア語または英語での公開を求め、事業がカンボジア側への影響をどう配慮したのかを問う書簡を送付しました。
これらを受け、11月、NEXIはメコン・ウォッチに対してEIA英語版の開示決定を通知してきました。3Sの要請であるカンボジア語での情報公開についてはまだ回答がありません。
開示されたEIAでは、この事業は貯水ダムを持たない流れ込み式発電施設であり、発電にはすぐ上流に位置するスレポック4ダムから放水される水を使用するため、下流への影響はないとし、カンボジア側への影響は考慮されていません。
スレポック川でも2004年以降、セサン川流域と同様に下流域のカンボジアで洪水や川の水質悪化などの深刻な被害が起こっています。2005年、ベトナム政府の委託によりセサン・スレポック川の事後EIAが実施され、2006年にスレポック事後EIA報告書として出版されました。
2007年1月にプノンペンで開かれたスレポック事後EIA報告書の公聴会で、EVN は今後のスレポック川開発に関して、村人との合意点を見つけ解決を探り損害に対応すると表明しています。しかし、その後も具体的な対策は取られず、電源開 発だけが先行する状態が続いています。