ホーム > 追跡事業一覧 > タイ > ヒンクルート石炭火力発電所 > ストップ!ヒンクルート&ボーノック第4号:更にタイ上院の二委員会が計画に反対!!
メコン・ウォッチ&地球の友ジャパン
2002.1.8
日本の企業と政府機関が、現地の議会や地域住民を無視して進めているタイの石炭火力発電所計画を止めるため、皆さんの力を貸して下さい!
プラチュアップ・キリカン県の火力発電所建設に関して、タイ政府は来週の金曜日(11日)に再び意見聴取を行なう予定で、一時はこの日に最終決定が下される見込みでしたが、一部の新聞報道によるとまたまた決定が延期されるようです。しかし最終決定の日は確実に迫っているようで、建設反対派・賛成派ともに活動が活発化しています。
まず、先日の上院環境委員会に引き続き上院民営化委員会と上院住民参加委員会が建設計画反対を表明しました。これで上院の三つの委員会が同建設計画に「ノー」を突きつけたことになります。一方ヒンクルート火力発電所の事業主ユニオン・パワー開発社(トーメン、豊田通商、中部電力が出資)はここ連日タイ字紙に意見広告を掲載して、二つの発電所を建設しなければ将来的に電力が不足すると訴えています。
折りあたかも日本の小泉純一郎首相が東南アジア諸国訪問の一環として11・12日にタイにやってきます。現地の報道では主要議題はアセアンと日本の自由貿易圏確立に向けた準備ということですが、この機に乗じて建設を推進する日本企業やその後押しをする日本大使館筋などが攻勢をかけるかも知れません。建設に反対する現地住民たちも小泉首相に対する働きかけを検討している模様です。対応を誤れば日本企業の活動や日本政府の開発援助政策に対する批判が一気に噴出す可能性もあります。
以下、タイ上院での動きを伝えるバンコク・ポスト紙(1月4日)の記事の日本語訳です。
(ウボン大学教員土井利幸/メコン・ウォッチ協力者)
『バンコク・ポスト』2002年1月4日
上院の二つの委員会はプラチュアップ・キリカン県のバンクルートとボーノックの火力発電所建設計画に関して、今後十年間これ以上の電力供給は不要であるとの立場から反対の意思を表明した。
上院国営企業民営化委員会Sophon Supapong議員は、発電所を建設すれば3500億バーツの税金が無駄になると述べた。
電力供給過剰の現状から考えて、国民はすでに税金を払いすぎている。発電された電力を全て使っていないのに、政府は企業に年間3000億バーツを支払わなければならない。
「3000億バーツの税金を節約し、同時に環境や地元の人々の生活も恵みを受けられるではないですか」と上院議員は語った。
上院議員がタイ発電公社(EGAT)の出した数字を引用して述べたところでは、昨年(2001年)の総発電量23,900メガワットのうち消費されたのは16,126メガワットで、つまり7,774メガワットの電力は未使用であった。
上院住民参加委員会のNirun Pitakvatchara議員も、政府が計画を中止にしなければ地元住民の間に深刻な対立を残すことになると語った。Nirun議員はまた代案として、政府が現在EGATの保有する発電所を改築する努力を行なうべきであると述べた。
上院環境委員会もすでに発電所建設計画とエネルギー需要に関する立場を表明しており、発電所の新築には反対しないが、ヒンクルートとボーノックの建設については好ましくないとしている。