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メクワンダム

2002年作成

事業名
メクワンダム灌漑農業開発事業
建設目的
灌漑用水の確保と水路網整備、洪水調整及び水力発電
事業内容(OECFの貸付金額)
フェーズ1:左岸ダム、右岸水路建設(23億円)
フェーズ2:主ダム及び右岸ダム建設(91億97百万円)
フェーズ3:左岸水路網建設(28億5百万円)
OECFからの借款はダム・幹線・支線水路建設(末端水路を除く)、建設資機材、コンサルティングサービスにかかる外貨分全額。
建設時期
91年12月左岸・右岸ダム完成(18ヶ月遅延)、92年10月左岸幹線水路、支線水路完成(10ヶ月遅延)

問題点

灌漑用水分配の問題

旱魃年に降雨量が少なく、メクワンダムの貯水量は最低水位に近づくと灌漑用水の供給が通常の半分以下になることがある。ロックフィルダムの性質上、水位が最低水位以下になるとダム提体の維持ができなくなるため、ダムを涵養するために用水が確保されるため灌漑用水の供給量が不足し作付けに大きな影響が出たと農民は話している。

メクワンダムからの大きな幹線水路はランプーン方面に向かっている。地域住民によると、旱魃で農地への送水が殆ど行われなかった年においても、ランプーン方面への送水は行われていた。これはランプーンの工業地帯に優先的に送水しているためと農民は考えている。

メクワンダムによる灌漑エリア内においても末端水路の未整備などにより灌漑用水を利用できない農地も見られる。そのような地域では、用水が流れているすぐ脇で地下水のポンプアップを行い農地に潅水している。

また、幹線・支線水路周辺では自己負担でポンプを取り付け、取水している農家が多い。これについては調整されておらず、資金力があり、幹線水路に面した農地を持つ農家は多く利水できるが、資金力のない農家は利用できないことになる。

現在、ダム・幹線水路から視線水路への送水は灌漑局メクワン管理事務所によって決定・通達されており、送水計画への住民参加システムはない。住民は毎年12月(乾季の始まり)に通達される送水計画を元に作付けを調整している。

OECFレポートにおいても、水利組合の組織化や利水管理への農民の参画の必要性、97年の調査時期にはそれらが不充分であったことが指摘されているが、現在においても状況は変わっていない。

旧来の灌漑システムとの差異

メクワンダムの灌漑地域では、ダム建設以前、住民組織による伝統的な灌漑システム(ムアンファイ)が存在していた。現在でもそのいくつかは存在している。

ムアンファイは近年コンクリートの使用が増えてはいるが、従来堰は竹と土嚢、もしくは石積みで、その管理は受益地域の農民が労力を出し合って行っていた。毎年乾季に堰の改修、水路の清掃・修復を行う。また水の分配に関しては村の話し合いによって決定されている。村人によって選出された堰の管理人(ゲーファイ)が水路を見回り、水の分配に問題がないかを通年確認する。ゲーファイの人件費は通常堰からの受益農民がその灌漑面積に応じて支払う。支払いは現金でも米でも可である。

伝統的灌漑システムの管理においては農民同士の協力が不可欠である。堰改修や水路整備などの共同作業が農民の連帯 ・共同体意識を高め、農民が主体的に水管理をしていた。一方政府による大規模灌漑システムは、コンクリート製の堰・水路になるため改修や清掃の必要性が低くなり、また水の供給・配分も灌漑局によって決定されるため、農民の共同体意識が下がり、農民はただ政府が水資源開発と管理を行い水が分配されるのを待つ受身の体勢になっていく。

また伝統的灌漑システムでは上述の通り堰は竹・土嚢・石積みなどで、水路も土のままで手作業で建設・改修されることが多かった。このため水路や土手には植物が繁茂し、そこが魚、昆虫、カエルなどの生息地となり、生態的に豊かな場所になっていた。最近先進国で言うところの「多自然型工法」「近自然型工法」がごく当たり前に作られていたことになる。そのため、農民は水路や堰の周辺で食べられる野草や昆虫、魚・カエルなどを採取することが出来た。伝統的な灌漑用水は用水そのものだけでなく、農民の生活に必要な多様な資源を提供していたが、堰・水路ともにコンクリート製に変えられていく大規模灌漑システムにおいては、灌漑用水は用水のみを供給し、その他の資源は無くなってしまう。

住民移転問題

97年のOECFレポートによると、ダムの影響を受け用意された移転地に入植した住民として把握されているのは309世帯であった。しかし、移転前の住民数が正確に把握されていないため、他の地域に移転した住民数は不明である。また移転地から他所へ再移転した世帯も多く、94年時点では239世帯に減少している。1つの移転先では117区画中105区画が放棄されていたこれは移転地が砂地で耕作不適、灌漑用水の供給不足などの理由により、農民が生計を立てられず再移転していったものと考えられる。

この移転事業は合法的に行われているが、移転住民には多大な負担がかかったことはレポートでも指摘されている。土地、家屋、果樹などに対する補償に関しても多くの住民が不満を持っていた。農業普及局の指導も水や投資が必要など移転先の実態に合わず、成果を生まなかった。移転前後で住民の生活は大きく変わった。土地は農業に不適、森林も世帯あたり1ライ使用権が与えられたが、実際には森林局の管理下であったり、村から遠いなど、移転前に行っていた森林からの食料採取もできなくなった。生業は農業から雇用労働へと移り、住民同士の協力関係も薄れた。 

住民移転については移転前のベースラインデータが無いことがその後の追跡調査を阻むなど大きな問題となっている。

新分水計画

灌漑局の資料によれば、現在メクワンダムの貯水量は1億3900万不足している。今後も工業用水、チェンマイの都市用水、農業用水の需要の伸びが見込まれることから、灌漑局ではピン川上流域のメーンガットダム、チェンライのラオ川などからの分水計画を検討している。

 

**現在メコン・ウォッチではこの案件のモニタリングを行っておりません。関連情報をお持ちの方の情報提供をお待ちしております(最終更新日2002年12月)**

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