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ホーム > 追跡事業一覧 > タイ > ヒンクルート石炭火力発電所 > ストップ!ヒンクルート&ボーノック第7号:買電契約への批判

【ストップ!ヒンクルート&ボーノック】
<第7号 買電契約への批判>

2002.1.15
メコン・ウォッチ&地球の友ジャパン


日本の企業と政府機関が、現地の議会や地域住民を無視して進めているタイの石炭火力発電所計画を止めるため、皆さんの力を貸して下さい!


第5号でお伝えしましたように、今月7日にエネルギー担当のヂャトゥロン国務大臣が記者会見で、タイ発電公社(EGAT)と発電所の事業者との間で結ばれた契約が政府側に不当に不利な内容になっているとして調査に乗り出したと発表しました。また、高速道路建設の遅れをめぐって、ドイツ企業が半分以上を出資しているタイの合弁企業から多大な補償金を求められた件が社会問題化しており、タイ字新聞をはじめ世論は「不利な契約」に敏感に反応しています。プラチュアップキリカン県の2つの石炭火力発電所計画は、こうした世論の批判の的となっています。以下、土井利幸さん(ウボン大学教員)の翻訳です。


学生団体が契約書の完全公開を請求
今日、担当閣僚がエネルギー政策委員会と会合

『バンコク・ポスト』2002年1月11日
Yuwadee Tunyasiri Pradit Ruangdi署名記事

タイ学生連盟は、問題となっているプラチュアップ・キリ・カン県の二つの褐炭火力発電所(建設予定中)について、エネルギー関係当局が発電所の事業者と交わした契約書の完全公開を要求した。*

同連盟によると、契約書は国家に不利な内容となっており不正の疑いもある。そのため、政府と国家エネルギー政策委員会にすべての詳細を開示するよう求めたものである。

ピタック・イントラウィタヤナント副首相とヂャトゥロン・チャイセン国務大臣は、今日(1月11日)エネルギー政策委員会と会合を開き、ボー・ノークとヒン・クルートの二つの発電所計画について推進か否か議論することになっている。

タイ発電公社(EGAT)は、ヒン・クルート発電所建設でユニオン・パワー開発株式会社と、ボー・ノーク発電所ではガルフ・パワー発電株式会社と契約を結んでいる。

タイ学生連盟のMetha Maskhao事務局長は、二つの買電契約書に加えられた変更には透明性が欠けている、と語った。事務局長は利権がからんだものではないかと見ており、発電所を建設する企業の一つに勤める理事が政治家と近い関係にあると主張した。EGATの理事の中にも、その企業で仕事をした者がいる。Metha事務局長は、政府に対してもこの件を調査するよう要請した。

水曜日(1月9日)にヂャトゥロン国務大臣(エネルギー政策担当)は、国家評議会または高等弁護士事務所に問い合わせ、買電契約書にあらたな変更を加えることが可能か、現在の契約書が公平を欠くものか、また発電所建設の遅れが契約違反に相当するかなどを検討すると語っていた。

ヂャトゥロン大臣の行動は、二つの発電所建設に反対する住民から出された、契約が国家の利益を損なうという主張を取り上げた結果である。事業者にあたる二つの企業は、契約書の変更を拒否した。

ヒン・クルート発電所は年間に1400メガワット、ボー・ノーク発電所は700メガワットを発電する予定である。現在の契約では、EGATが25年にわたり二つの発電所から電気を購入することになっている。

昨日(1月10日)ヂャトゥロン大臣は、「住民から情報と不服が寄せられたので、契約書の内容を検討してみることにした」と語った。「確かなのは、これまで契約書に加えられた変更を申し出たのは政府側ではなく企業側だ。企業は、特に建設地問題のからみで建設に取り掛かることができなかった。」「公有地に発電所を建設することで問題が生じている点は広く周知の事実だ」。

大臣によると、買電契約の件は今日(1月11日)の委員会で取り上げられるが、計画の最終決定には至らない。一方で、発電所建設が予定の四月に始まらない可能性が出てきた。建設の是非をめぐる決定は延期される見込みである。

国家エネルギー政策委員会のPiyasvasdi Amaranan事務局長は、今回の契約書は独立発電事業体(IPP)や小規模発電事業体(SPP)と交わされるものと同様であると語った。

契約書の下では、EGATのみが二つの発電所から25年にわたり電気を購入することになっている。ヒン・クルート発電所の契約書は四回、ボー・ノーク発電所の契約書は三回にわたって変更が加えられている。Piyasvasdi事務局長によれば、これらの変更はすべて国家の利益のために行なわれたものである。EGATは詳細をすべて開示すべきである。

党名簿によって選出されたSavit Bhothivihok議員(民主党、元エネルギー政策担当国務大臣)は、政府は二つの発電書建設について熟考した上で慎重に結論を出すべきだと述べた。いかなる政治力学も介在してはならない。

同議員は、EGATの前委員会による契約書の変更が国家に80億バーツの損失をもたらすという政府側の主張を否定した。変更はすべてEGATの理事会で承認されており、理事会と企業側の同意によるものである。

*訳者注:記事原文は"lignite-fired"(褐炭燃料)となっているが、企業・計画推進派は良質の石炭を使用すると主張する一方、反対派は低質の石炭を使用するとの情報をつかんでいる模様である。

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