ホーム > 追跡事業一覧 > タイ > ヒンクルート石炭火力発電所 > ストップ!ヒンクルート&ボーノック第9号:プロジェクトは憲法違反
2002.3.30
メコン・ウォッチ&地球の友ジャパン
日本の企業と政府機関が、現地の議会や地域住民を無視して進めているタイの石炭火力発電所計画を止めるため、皆さんの力を貸して下さい!
ヒンクルート発電所:トーメン、豊田通商、中部電力
ボーノーク発電所:電源開発
支援検討:特殊法人国際協力銀行(JBIC)、貿易保険(経済産業省)
プラチュアップキリカン県の2つの石炭火力発電所計画=ヒンクルート&ボーノークについて、タイ政府はタイ正月(4月13日)までに結論を出すと報道されています。それに先立ち、国家人権委員会は、これらのプロジェクトは、「新憲法下で規定されている現地住民の人権や参加の原則に違反して進められようとしている」という見解を示しました。
新憲法下で発足した独立委員会の1つである国家人権委員会が違憲という見解を出したことの意味は大きいです。そんなプロジェクトに日本企業がこぞって投資をし、あろうことか、国際協力銀行や日本貿易保険が融資や付保を検討していることは、情けないの一言につきます。
『ザ・ネイション』2002年3月28日
昨日(3月27日)、国家人権委員会は、論議を呼んでいるタイ南部の三つの電力事業計画について、政府が現地住民の権利を侵害したと述べた。この電力事業計画とは、ヒンクルートとボーノークの二つの石炭火力発電所およびタイ・マレーシア・ガス・パイプラインである。
大学教員でもあるSaneh Chammarik国家人権委員会委員長は、建設予定地での血なまぐさい衝突を避けるためにもタクシン・チナワット首相が過去の「間違い」を正し、新憲法の原則にのっとった適切な行動を取るべきである、と述べた。国家人権委員会は新憲法下で発足した六つの主要な独立委員会の一つであるが、今回のようにまとまった提言を提出するのは二年前の発足以来初めてのことである。
Saneh委員長は会見に集まった記者団に向かって、「これらの建設計画は新憲法下で規定されている現地住民の人権や参加の原則に違反して進められようとしている」と語った。
また、委員の一人であるAmphorn Meesuk女史も、「私たちの調査では、現地住民は初期段階で計画について知らされておらず、その後も矛盾する情報を与えられ混乱していた」と述べた。
Saneh委員長は、政府に対して、住民の要求にしたがって計画を再考するよう要請した。また、建設予定地でこれ以上衝突が起こらないように早急に二つの法案を可決すべきであると付け加えた。その二つの法案によって、公聴会法と独立環境委員会法を制定しようというものである。
「この二法を制定しなければ、同じ過ちが何度も繰り返されるだろう」と同委員長は述べた。
さらにSaneh委員長は、タクシン首相に対して、全ての開発計画を地域別・セクター別に公表して、あらゆる計画の初期段階から住民参加が保証されるようにすべきだと要請した。
Amphorn女史によれば、以上の提言は昨晩タクシン首相に届けられた。首相は何の反応も示さなかった。
「私たちの提言は、政府に干渉するものではない。国家人権委員会は政府の決定や活動を尊重するが、同時に政府が私たちの提言を慎重に検討することを期待する」とSaneh委員長は語った。
「経済的要因のみに基づいて決定を下してはならない。正義と倫理も必要だ。これは警告であり、私たちが政府と現地住民に向けて発したメッセージなのである」とSaneh委員長は付け加えた。
(翻訳:土井利幸/タイ・ウボン大学教員)