ホーム > 追跡事業一覧 > タイ > ヒンクルート石炭火力発電所 > ストップ!ヒンクルート&ボーノック第11号:タイ政府は「延期」を決定?
2002.5.10
メコン・ウォッチ&地球の友ジャパン
日本の企業と政府機関が、現地の議会や地域住民を無視して進めているタイの石炭火力発電所計画を止めるため、皆さんの力を貸して下さい!
ヒンクルート発電所:トーメン、豊田通商、中部電力
ボーノーク発電所:電源開発
支援検討:特殊法人国際協力銀行(JBIC)、貿易保険(経済産業省)
プラチュアップキリカン県の2つの石炭火力発電所計画=ヒンクルート&ボーノークについて、タイ政府はタイ正月(4月13日)までに結論を出すと報道されています。それに先立ち、国家人権委員会は、これらのプロジェクトは、「新憲法下で規定されている現地住民の人権や参加の原則に違反して進められようとしている」という見解を示しました。
新憲法下で発足した独立委員会の1つである国家人権委員会が違憲という見解を出したことの意味は大きいです。そんなプロジェクトに日本企業がこぞって投資をし、あろうことか、国際協力銀行や日本貿易保険が融資や付保を検討していることは、情けないの一言につきます。
5月10日付けのタイの新聞は、正式発表は本日(10日)としながらも、2つの石炭火力発電所プロジェクトの延期を伝えています。政府の発表は本日午後3時(日本時間午後5時)だということです。
2つのプロジェクトには、以下の日本企業が関わっています。
また、国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)の支援が検討されています。なお、JBICの関与はODAではなく、OOF(その他の公的資金)と呼ばれる、日本企業への投資金融支援です。
発電所からの温排水や原料搬入用の埠頭建設による漁業被害、大気汚染などによる環境影響に加えて、現地の住民の反対を無視したプロジェクトのプロセスも激しい批判にさらされています。
一方で在タイ日本国大使館は、タイ政府が慎重に議論している最中に、「このプロジェクトを進めないと今後日本からの投資に影響がある」と、露骨な企業寄りの姿勢を示して、問題プロジェクトの推進を働きかけてきました。バンコクポストによると、今回2〜3年の延期が決められた背景には、現在のタイの経済状況(電力供給の過剰)があるとしています。この問題をモニターしてきたタイのNGO(TERRA)は、適正な余剰電力のを発電能力の25%から15%にすることの妥当性を首相が認めたと分析しています。TERRAは、そのことによって他の民間電力事業(IPP)や、ラオスのナムトゥン第2ダムからの買電計画にも影響が出るだろうと見ています。
ここで言う「延期」とは、TERRAの説明では「電力購入の延期」を意味しているということですが、バンコクポスト紙は、それによる損害賠償義務は生じないとの見方を示しています。その一方で、タイ政府は投資企業を呼んで話し合いを持つと、同紙は報じています。
タイ政府の公式な発表を受けて、明日、続報をお送り致します。