ホーム > 追跡事業一覧 > タイ > ヒンクルート石炭火力発電所 > ストップ!ヒンクルート&ボーノック第14号:タイ政府がヒンクルート発電所の建設地移転を提案
2003.2.22
from メコン・ウォッチ&FoE-Japan
昨年末、瀕死のトーメンをトヨタが救った。低公害・クリーンなイメージを持つトヨタは、タイで地域社会を滅茶苦茶にし、すでに多額の損失を生み出している石炭火力発電所をも救おうとしている。
日本の企業と政府機関が、現地の議会や地域住民を無視して進めているタイの石炭火力発電所計画を止めるため、皆さんの力を貸して下さい!
◆ヒンクルート発電所:トーメン、豊田通商、中部電力
◆ボーノーク発電所:電源開発(J-Power)
◆支援検討:特殊法人国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(経済産業省)
激しい住民の反対が続く中、タイ政府がヒンクルート石炭火力発電所の建設地の移転を提案しました。以下、メコン・ウォッチの土井利幸(バンコク)の翻訳です。
『ザ・ネイション』2003年2月21日
Watcharapong Thongrung署名記事
昨日(2月20日)Prommin Lertsuridejエネルギー大臣が明かしたところによると、タイ政府はタイ発電公社(EGAT)に対して問題となっているヒンクルート発電所の建設地を移転し、燃料を石炭から天然ガスに変更するよう提案した。
EGATは本日(2月21日)の理事会でユニオン・パワー開発会社が計画した同発電所に対する決定を下すことになっている。
プラチュアップ・キリカン県に建設が予定された同発電所は地元住民と環境保護団体から激しい反対にあっている。
ユニオン・パワー社はEGATに対して三つの選択肢を概略した提案書を提出した。
建設地も燃料も現状のまま、建設地をそのままにし燃料を天然ガスに変更する、建設地を別の場所に移動し燃料を天然ガスに変更する、というものである。
Promminエネルギー相は自分は第三の選択肢が最善だと考えるとした。
政府は天然ガスの利用を推進しているが、それはタイや近隣諸国に豊富に埋蔵されているからだ、とエネルギー相は述べた。
しかし、天然ガスに過度に依存することに対する懸念もある。発電コストに影響する可能性があるからだ。エネルギー省では電力料金換算式を改め、できる限り実際のコストを反映させるように努めている、とエネルギー相は語った。
同時に購入先との取引を見直し天然ガス価格を下げる手段を検討する、とも語った。
Promminエネルギー相は同じくプラチュアップ・キリカン県に建設予定のボーノーク石炭火力発電所についても触れ、現在も交渉が継続中なのは地元の反対がおさまっていないためである、とした。
発電所の主要出資者であるガルフ・パワー発電会社は現在の地に発電所を建設し石炭を燃料として使用する、と言い張っている。EGAT理事会はまもなく会社との話し合いでこの問題を取り上げることになっている。
一方パンプー社の子会社であるBLCPパワー社に対しては、従来の契約に基づきラヨン県に発電所を建設する許可が出された。
従来のスケジュールによると同発電所は2006年12月に最初の発電ユニットを送電し、翌2007年1月に第二ユニットを送電する。建設は開始予定は今年中旬である。EGATはヒンクルートとボーノーク発電所の商業運転開始日をすでに三年間延期している。その結果ボーノーク発電所の送電開始は当初の2004年から2005年に対して2007年から2008年へ、ヒンクルート発電所では当初の2005年から2006年に対して2008年から2009年へと変更になっている。
燃料源と建設地の変更に関する交渉が妥結したとしても、ヒンクルート発電所には三年間の商業運転日延期で、建設機会を逸したことに対するコストも含めてさらにコストがかさむことになる。
建設延期の結果として生じる追加コストについてはEGATとユニオン・パワー社間で交渉が行なわれる必要がある。
「公共の利益をはじめ環境や地元住民への影響も踏まえて、三つの発電所に関して理事会が最善の打開策を打ち出すだろう」とPromminエネルギー相は述べた。
ガルフ・パワー社のサラット・ラタナワディー専務理事は、同社がEGATに対してユニオン・パワー社のようには選択肢を提案しなかったことを明らかにした。同社は従来の建設予定地でプロジェクトを実施し燃料としても石炭を使うことで腹を決めているとのことである。
しかしながら同社は商業運転開始日の三年延期には同意している。