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ホーム > 追跡事業一覧 > タイ > ヒンクルート石炭火力発電所 > ストップ!ヒンクルート&ボーノック第15号:1つの問題の終わりは新たな問題の始まり

【ストップ!ヒンクルート&ボーノーク】
<第15号 1つの問題の終わりは新たな問題の始まり>

2003.2.24

from メコン・ウォッチ&FoE-Japan


昨年末、瀕死のトーメンをトヨタが救った。低公害・クリーンなイメージを持つトヨタは、タイで地域社会を滅茶苦茶にし、すでに多額の損失を生み出している石炭火力発電所をも救おうとしている。

日本の企業と政府機関が、現地の議会や地域住民を無視して進めているタイの石炭火力発電所計画を止めるため、皆さんの力を貸して下さい!

◆ヒンクルート発電所:トーメン、豊田通商、中部電力
◆ボーノーク発電所:電源開発(J-Power)
◆支援検討:特殊法人国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(経済産業省)


「ストップ!ヒンクルート&ボーノーク14」でお知らせしました通り、ヒンクルート石炭火力発電所については、タイ政府がプロジェクト地と燃料の変更を正式に決定しました。これによって、5年間にわたる現地住民たちの苦しみは、ひとまず終わりに向かう可能性が高くなりました。その一方で、新たな問題の火種も残しています。

以下、メコン・ウォッチの土井利幸(バンコク)からの報告と翻訳記事です。


事前に各メディアの予測記事が出ていた通り、2月21日、タイ発電公社(EGAT)がプラチュアップ・キリカン県に計画したヒンクルートとボーノークの2つの発電所に対して決定を下しました。

ヒンクルート発電所(以下の翻訳記事では建設予定地名を取って「バーン・クルート」となっている)に関しては、他地域への移転と燃料の転換、ボーノーク発電所に関してはさらに1か月を費やして反対住民から同意を取り付けるとしています。

これまで「決定」と呼ばれるものが数度にわたって出され、それでも解決しなかったことを意識してか、関係者はことさらに「最終決定」を強調しています。ともあれ反対運動を担ってこられたジンタナさんの言葉(記事末尾)から判断してヒンクルート発電所反対運動はひとまず勝利したと考えていいかと思います。

しかし問題が全て解決したわけではありません。ざっと考えただけでも以下のような懸念が残っています。

さらに大きな枠組みで考えると今回の一件でタイの国家エネルギー政策が引き続き天然ガスを重視することが一層鮮明になったわけでして、これは近隣のビルマにおける天然ガス開発を推進する動きにもつながっていきます。

ヒンクルート発電所反対運動のリーダーのジンタナさんの指摘通り「住民参加の欠如」が根本問題であることが分かっていながら、政府やEGATが強硬な姿勢で出てくるゆえんでもありましょう。


バーン・クルート発電所は移転
コストは電気料金に上乗せの可能性も

『バンコク・ポスト』2003年2月22日
Yuthana Praiwan and Anchalee Kongrut署名記事

六年間にわたる地元住民の反対運動を受けて、タイ発電公社(EGAT)は昨日(2月21日)プラチュアップ・キリカン県に建設が計画された二つの石炭火力発電所のうちの一つを移転する決定を下した。

出力1400メガワットのこの発電所の建設と運転を認可されているユニオン・パワー開発社はプロジェクト地をバーン・クルートから移転し、燃料についても石炭から天然ガスに転換することができる。

「理事会の決定は最終のもので政府の見解も代表している」とEGATのSithiporn Rattanopas総裁は語った。

今回の決定はユニオン・パワー社から解決策として提示された三つの選択肢の一つに基づいたものである。他の選択肢としては、建設地を現在のままとして発電燃料に石炭を使うか、天然ガスに変更するかがあった。

ユニオン・パワー社はEGATに対して2008年から2009年の時期に電気を売却することになっている。Sithiporn総裁によれば、ユニオン・パワー社は最低五年間の期限で発電所を完成させ送電を開始する。

これは新しい発電所を建設するには十分な時間であり、それというのも天然ガスを使った発電所は石炭発電所より短期間で建設が可能だからである。

タイ石油公社(PTT)がプラチュアップ・キリカン県、ラチャブリ県、ラヨン県の沿岸に敷設を計画している第三ガス・パイプラインも発電所が新しい建設地に完成する前の2006年には完成する。

ユニオン・パワー社のNatee Sithiprasasana管理部長は、同社としては決定を歓迎し政府がこの決定を最終と見なす点を喜ばしく思うと語った。現時点までで同社はすでに土地、発電所のデザイン、環境影響の調査に8000万米ドル(34億4000万バーツ=約96億円)を費やしている。

「これらの出費をEGATに売却する電力のコストに含める可能性を検討しなければいけない」とNatee管理部長は述べた。またNatee管理部長は、ユニオン・パワー社としては売電価格と賠償の決定がなされるまで新しい建設地の選定は行なわない、とした。

政府は反対運動によって発電所建設が遅れたため委員会を立ち上げ、EGATと建設認可を受けた企業との間の交渉を仲介しようとしていた。政府も、この委員会と企業が達した合意を最終のものと見なす、と述べた。

またNatee管理部長は「EGATの決定はわが社との間で署名した協約の範囲内にあり、このプロジェクトに投資している海外企業の利益を損なうものではない」とも語った。

ユニオン・パワー社が土地の取得、発電所のデザイン、環境影響評価の実施に費やした費用は発電コストの一部とも見なすことができる。そうなれば結果としてEGATへの売電価格は原案のユニット当り1.7〜1.8バーツよりも高くなる。

一方ボーノークに別の発電所を建設する認可を得ているガルフ・パワー発電社は、1か月以内に地元住民の反対運動に対処する手段を提案することになった。

バーン・クルートの住民たちは移転計画を聞いて安堵のため息をついている、と反対住民のジンタナ・ゲウカウ氏は語った。

「喜んでいます。でもまだ勝利を手にしたわけではありません。ボーノークの人々の建設反対運動を支援しなければいけないからです。」

一方ラチャブリ県の人々はバーン・クルートの発電所計画が同県に移転されると信じている。ジンタナ氏は、ラチャブリ県の人々のことを気の毒に思う、と述べた。「住民参加を考えずに建設計画を立てる政府のやり方が間違っていうと言うしかない。」

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